海外美術散歩10-1
ローマのボルゲーゼ美術館はその庭園、建物、コレクションすべてが超一流であり、以前に訪れた時には古代彫刻、バロック彫刻、ルネサンス・バロック絵画そして天井画などに感嘆した(そのときの記事はこちら)。そのボルゲーゼのコレクションがまとまった形で紹介されることとなった。なかなか良い作品が来ていた。作品数は50点弱であるが、概して大きな作品が多いのでかなりの規模の展覧会となっている。以下、章別にお気に入りを紹介してみたい。
序章 ボルゲーゼ・コレクションの誕生
桜の衝撃
〇プロヴェンツアーレ《パウルス5世の肖像》、《オルフェウス姿のシピオーネ・ボルゲーゼ》・・・いずれもモザイクであるが、細かいモザイクなので普通の画のように見えてしまう。別室のビデオでは拡大されていたので確かにモザイクだと納得した。
〇ベルニーニ《シピオーネ・ボウルゲーゼ枢機卿の胸像》・・・表面の仕上げが巧い。ボルゲーぜにはベルニーニの名作が揃っているが、これもその一つに入れても良いかもしれない。
T 15世紀・ルネサンスの輝き
〇ボッティチェリとその弟子《聖母子、洗礼者ヨハネと天使》・・・複雑な構図のトンド。大きく美しいルネサンス絵画である。
ワインの魅力は何ですか
〇ラファエロ《一角獣を抱く貴婦人》・・・今回の目玉で、以前に聖カタリナ像に描きかえられていたといういわれのある作品。
〇レオナルドの模写《レダ》・・・原作が失われているため有名になっている作品の一つ。
U 16世紀・ルネサンスの実り−百花繚乱の時代
〇ヴェロネーゼ《魚に説教する聖アントニオ》・・・みごとな構図と色彩の作品。
〇プレシャニーノ《ヴィーナスとふたりのキューピッド》・・・自分が生まれてきた帆立の貝殻を鏡に使っているヴィーナス。バランスの良い美しい脚。画から抜け出てきそうなダマシ絵。これが今回のマイベストである。
バラのコサージュを作る方法
〇カンビアーソ《海のヴィーナスとキューピッド》・・・海豚の上に乗るヴィーナスの曲がりくねった体位、明るい色彩。マニエリスムの技巧が素晴らしい。
V 17世紀・新たな表現に向けて−カラヴァッジョの時代
〇カラヴァッジョ《洗礼者ヨハネ》・・・これによって恩赦が与えられたのだが、画家の死のほうが一歩早かったといういわれの作品。
〇グエルチーノ《放蕩息子》・・・おなじみの主題だが、説得力のある画。
ボルゲーゼと日本:支倉常長と慶長遣欧使節
〇リッチ《支倉常長像》・・・ローマの個人蔵。色彩豊かな見事な作品である。
ボルゲーゼには他にも有名な作品が沢山あり、今回はその一部に過ぎないが、それでもそのコレクションの豪華さを味わうことのできる良い展覧会だった。
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